これからの企業に求められる「共働きでも子育てしやすい環境」とは

  • 2017.04.13

2015年8月に成立した「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」。企業では、女性の活躍を支援するため、自社の現状を把握・分析し、それを踏まえた今後の行動計画を策定・届出・情報公開することが求められています。こうした女性活躍推進によって、ますます増えることが予想される共働き世帯。中でも、育児や介護の時期と重なっている共働き世帯の負担は大きく、仕事との両立が叶わずに退職となる「ワーカーズロス(人材喪失)」は、企業にとって見過ごせない課題となっています。従業員のパフォーマンスを向上・維持していくためには、従来の「働きやすい職場環境づくり」から一歩進んだ取り組みが必要になってきます。

 

今回は、共働きでも子育てしやすい職場環境にスポットをあててご紹介します。

 

「夫も妻も外で働く」共働き世帯がますます増加

少子化などによる労働力減少への危機感から、政府が打ち出した「女性活躍推進」。それによって、働く女性が増加しています。

 

◎共働き世帯は、専業主婦世帯の約1.6倍に!

内閣府がまとめた2016年版の「男女共同参画白書」によると、1980年の調査開始時には614万世帯だった共働き世帯は、1114万世帯にまで増加しています。一方、調査開始時は1114万世帯あった専業主婦世帯は、687万世帯にまで減少しており、その比率は逆転している状況です。

 

◎「夫は仕事、妻は家庭」に共感する人は減少傾向に

専業主婦世帯が主流だった時代では、「夫は外に出て仕事をし、妻は家庭を守る」という考え方が一般的でした。しかし、前出の白書では、この考えに賛成(どちらかと言えば賛成を含む)する人は男性:46.5%、女性:43.2%と半数を切る結果になっています。1979年の調査では、男性:75.6%、女性:70.1%。たった35年でこれほど大きく世論が変わっていくさまは目を見張るものがあります。

 

共働きでも子育てしやすい企業の傾向とは

共働きでも子育てしやすいと感じるには、どのような点に配慮した職場環境にすればいいのでしょうか。

 

◎性別に限定されない「仕事両立支援策」があることがポイント

日経DUALが行った「共働き子育てしやすい企業ランキング2016」において、最も重視した評価ポイントは、女性に特化した仕事両立支援制度ではなく、性別に限定されない支援策があること。つまり、「出産育児=女性従業員」という図式に当てはめず、子育てを「夫婦の共同作業」という前提に則った支援に舵を切っている企業ほど、評価を高くしています。ランキングでは、1位がサントリーホールディングス、2位が丸井グループ、3位がダイキン工業という結果に。これらの企業の施策は、参考にしたい「共働き世帯支援」が詰まっています。

 

◎制度だけでなく、マネジメントポジションを含めた社内研修で意識改革

「ワークとライフのバランスが図りやすい職場とは」でもご紹介したように、どれだけ素晴らしい支援制度があったとしても、それを使うことを容認しない上司や企業風土では何の意味もありません。特に、経営層含めたマネジメントポジションは「支援制度は、対外的アピールのため」ではなく、「優秀な人材を確保・維持するための人材戦略の1つ」として捉え、運用を推進することが大切です。前出のランキング上位の3社でも、社内研修を用いた意識改革を掲げており、日本企業に根付く「性差意識」の打破に努めています。

 

今ある支援制度が本当に有効なのか、企業に求められる制度再構築

~時短勤務も育休取得も積極的に推進しているが、従業員や部署からの反応が良くない~もし自社の雰囲気がこのような状況であれば、支援制度の再構築が必要なのかもしれません。

 

◎時短勤務制度だけでは、従業員のためにはならないことも

子育て中の従業員を対象とした「短時間勤務制度」。時短勤務として多くの企業で導入されています。特に、育休から復帰する際には、まだ保育園に慣れていない子どもと仕事との両立に向けて走り始めた従業員にとって、短時間から仕事復帰できるメリットの大きい制度です。しかし、この時短勤務も時として仇となることがあります。

  ▼成果へのプレッシャー

短時間で成果を上げる必要があるので、自身でプレッシャーをかけ、疲弊してしまう

  ▼望まないキャリアチェンジ

時短を選択すると、企業風土としてキャリアチェンジを余儀なくされる

  ▼周囲との関係悪化

  周囲は残業していても、短時間で帰ることで周囲からの反感を買ったり、気が咎めたりする

このほか「部署内のコミュニケーション機会が減る」、「昇進に影響する」、「重要な案件を任されなくなる」など、時短勤務を選択したことでさまざまなフラストレーションがたまることも。ライフステージの変化によって選択せざるを得なかった従業員にとっては、モチベーションやパフォーマンスの低下につながります。時短勤務=フラストレーションとなってしまっては、せっかくの制度も効果を発揮しません。時短勤務を有効に活用するためには、これらの点にも配慮が必要です。

 

◎男性の育休取得を推進するために必要なのは「安心感」

男性の育休取得を阻む一番大きな障害は、育休を取得したら「居場所がなくなる」、「昇進できなくなる」という不安感です。特に男性の場合、職場で十分な理解を得られないパタハラ(パタニティーハラスメント*)の被害に遭うケースも多く、不安感から取得申請できないこともあります。男性の育休取得を推奨するには、まずはマネジメントポジションクラスが率先して取得し、復帰後にも変わらぬ活躍を続けるという「前例」が欲しいところです。

*パタニティーハラスメントとは、育児に対して行う休暇や短時間勤務などの制度活用を妨害するなどし、男性の育児参加を阻む、嫌がらせ行為のこと

 

今や多くの企業で導入されている仕事両立のための支援策ですが、導入当時の制度のままで運用しているケースが多くあります。共働きでも子育てしやすい環境を構築するためには、従業員が安心して支援制度を活用できるように見直しが必要なこともあります。ワーカーズロスとならないよう、自社の支援制度や職場環境について、今一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

(参照)

内閣府 男女共同参画局 男女共同参画白書 平成28年版

http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h28/gaiyou/html/honpen/b1_s03.html

 

日経DUAL 共働き子育てしやすい企業ランキング2016

http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=9500&n_cid=DUALFB01

 

サントリーホールディングス 女性活躍推進に関する情報公開

http://www.suntory.co.jp/company/csr/activity/diversity/empowerment_of_women/pdf/data_empowerment_of_women_shd.pdf

http://www.suntory.co.jp/company/csr/activity/diversity/empowerment_of_women/pdf/plan_empowerment_of_women_shd.pdf

 

丸井 女性活躍推進に関する情報公開

http://www.0101maruigroup.co.jp/csr/employee.html

 

ダイキン工業 女性活躍推進に関する情報公開

https://www.daikin.co.jp/press/2015/150803/setsumei.pdf#search=%27%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%AD%E3%83%B3%E5%B7%A5%E6%A5%AD+%E5%A5%B3%E6%80%A7%E6%B4%BB%E8%BA%8D%E6%8E%A8%E9%80%B2%27

http://www.daikin.co.jp/press/2016/160331_2/

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