家族形成コンサルティングとは~必要とされる背景~

  • 2017.01.06

 弊社では、「出産育児を支える、社内づくりサポート」として、

 ▼社内研修

 ▼家族形成コンサルティング

 ▼家事育児サポート

の3つの事業で「働きやすい会社づくり」の支援を行っています。しかし、社内研修や家事育児サポートはイメージしやすくても、「家族形成コンサルティング」はどんなことをするのかわかりにくいかもしれません。

 

これから2回にわたり、弊社サービスである「家族形成コンサルティング」についてご紹介していきます。今回は「なぜ家族形成コンサルティングが必要なのか」、その背景にスポットをあてていきます。

 

長時間労働や取得できない有給休暇 ストレスは従業員本人だけではない

長時間労働などのワークとライフのバランスが乱れた環境は、従業員だけでなくその周囲の人々にも影響を及ぼします。

 

◎「ワンオペ」は家庭にも!長時間労働でパートナーも疲弊する

ワンオペとは、全ての業務を一人でこなす(ワンオペレーション)ことで、某飲食チェーンの過酷な労働環境で話題になりました。しかし、今は母親たちを中心に、「ワンオペ育児」というキーワードが広がっています。ワンオペ育児とは、パートナーの不在等により、一人で(その多くは母親)家事と育児を担っている状況を指します。家事と育児には「休日」はありません。ただでさえ体が休まらない環境にプラスして、仕事との両立を求められる状況であったら、その負担の大きさは計り知れません。

 

◎ワークライフバランスが離婚にも影響を及ぼす?!

「離婚に関する調査2016(リクルートブライダル総研調べ)」によると、離婚理由の上位5項目は「価値観の違い(46.4%)」、「人生観の違い(40.9%)」、「性格の不一致(38.7%)」、「金銭感覚の違い(36.4%)」、「夫婦の会話がない(29.2%)」となっています。この調査で注目したいのは、男女間で比較した際に大きく差が出ている項目です。「相手が育児に協力的でない(男性2.4%・女性26.2%)」、「相手が家事に協力的でない(男性6.8%・女性27.2%)」。この2項目は、男性にとっては離婚理由になりにくいのに対し、女性側には結婚生活を継続しがたい重大な理由となっています。それだけ日本では、女性側に家事や育児が集中しがちな状況であり、ワークとライフのバランスが取れない男性側に対してストレスを感じていると言えるでしょう。

 

◎ストレスフルな家庭環境は、子どもたちにも影響が

ゆっくりと心身を休めることができない父親と母親。お互いをいたわりあう気持ちの余裕すらなくなれば、夫婦間の雰囲気は決して良いものにはなりません。「夫婦げんかが絶えない」、「父親(母親)の悪口を聞かされる」など、殺伐とした家庭環境は、子どもにとって大きなストレス原因となり、発達や心理状態にも悪影響を及ぼしかねません。

 

「家族の問題は家族で解決」できるとは限らない

家庭内にトラブルがあった場合、それを家庭内で解決するのがベストです。しかし、必ずしも解決できるわけではありません。

 

◎「他人に弱音は吐きたくない」悩みを相談しない夫

内閣府が2012年行った『「男性にとっての男女共同参画」に関する意識調査報告書』によると、「他人に弱音を吐くことがあるか」という問いでは、「とてもそう思う(4.0%)」、「ややそう思う(24.1%)」の2つを合計しても28.1%!男性は自分の弱音を吐き出すことに抵抗を覚える人が多い結果が出ています。また、「悩みを誰かに気軽に相談するか」という問いでは、「とてもそう思う(2.6%)」、「ややそう思う(14.6%)」を合わせても17.2%。「悩んでいても誰かに相談したくない」と思っている男性が多いのが実情です。「家族にも弱音を吐けず、悩みも相談できない」傾向が強い男性に対しては、「弱音を吐き出しやすく、安心して悩みを相談できる」環境を用意する必要があります。

 

◎夫婦間の「価値観のすり合わせ」ができていない

人生において「何を重視するか」を明確に話し合っている夫婦はどれくらいいるでしょうか。「収入よりも家族との時間を大切にしたい(して欲しい)」、「将来に向けて、今は仕事に打ち込みたい(打ち込んで欲しい)」など、夫婦間で一致した価値観であれば問題はありません。しかし、一致していない場合には、一方もしくは双方がストレスを抱え続け、やがては破たんの原因ともなります。夫婦間で十分なコミュニケーションが取れていない場合、こうした結果に陥りやすくなるため、特に注意が必要です。

 

パートナーとの関係は、仕事のパフォーマンスにも影響する

「ワークとライフのバランスが図りやすい職場とは」でもご紹介した、「ワーク」と「ライフ」の密接な相互作用。それは、従業員本人だけでなく家族であるパートナーの「ライフ」からも大きく影響を受けることになります。

 

◎夫婦間が生活に対し充足感があれば、仕事のパフォーマンスも上がる

内閣府が2011年にまとめた『「ワーク」と「ライフ」の相互作用に関する調査報告書』では、『「仕事から生活への肯定的なスピルオーバー」と配偶者の全体的生活満足』について調査しています。その結果、仕事の充足感がプライベートでの満足につながっていると感じている人は、パートナーの生活満足度も高くなる傾向があるとしています。

 

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(「ワーク」と「ライフ」の相互作用に関する調査報告書より転載

≪図表24解説≫

縦軸:仕儀から生活への肯定的スピルオーバー軸:仕事の充実が生活の充実に寄与すると思うかどうかを0~20の20点満点で評価(点数が高いほど寄与)
横軸:一方の生活満足度の割合軸:夫の生活満足度ごとの、妻の生活満足度割合

 

◎パートナーの生活満足は、従業員本人の生活満足度にも影響する

前出の調査報告書で導き出された結論に、もう1つ興味深いものがあります。夫の生活満足度が高い家庭ほど、妻の生活満足度も高くなる傾向があり、パートナーの生活満足度は相手方の生活満足に影響を与えている可能性があると結論付けています。(表25参照)
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(「ワーク」と「ライフ」の相互作用に関する調査報告書より転載

≪図表25解説≫

縦軸:夫の生活満足軸:ライフの満足度を0~10の10点満点で評価(点数が高いほど満足度も高い)
横軸:妻の生活満足度の割合軸:夫の生活満足度ごとの、妻の生活満足度割合

 

従業員のパフォーマンスを上げようと思うのであれば、従業員本人の生活満足を上げるだけでなく、パートナーの生活満足を上げる取り組みが必要となります。それには、長時間労働などの労働環境や制度を改善するだけでなく、すでに生じてしまっている「夫婦間の溝」を埋めるための支援としての「家族形成」も並行して行うことが効果的です。

 

次回は、従業員とパートナーの生活満足を向上させるための支援を行う「家族形成コンサルティング」の具体的なサービス内容についてご紹介します。

 

(参照)

厚生労働省 平成27年雇用動向調査

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/16-2/dl/gaikyou.pdf

内閣府 『ワーク』と『ライフ』の相互作用に関する調査

http://wwwa.cao.go.jp/wlb/research/sougo/sougo.pdf

リクルートブライダル 離婚に関する調査2016

http://bridal-souken.net/data/divorce/divorce2016_release.pdf

内閣府 「男性にとっての男女共同参画」に関する意識調査報告書

http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/dansei_ishiki/pdf/chapter_1.pdf

http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/dansei_ishiki/pdf/gaiyou.pdf

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